新刊のご案内
経営トップの技術戦略と知財戦略
当社代表の中村が執筆した「経営トップの技術戦略と知財戦略」が発売されました。
内容紹介
・メーカー経営者が高収益化を実現するための技術戦略と知財戦略の解説書。最少投資で最大効果を発揮すると確信できる技術・知財戦略を、社員に立てさせるにはどうすれば良いのかを解説。
・非公知の潜在課題を、サイテキ技術で解決し、排他的知財を取得する「キラー技術開発法」を提唱する。
・粗利90%価格主導権を握って、超高収益事業を実現する策を提示した書。経営者が社員のレベルを引き上げる人材開発の重要性を解く。
まえがき
本書は、成熟メーカー企業を高収益にする経営者のために書かれた戦略書です。
高収益とは価格主導権を持つことです。価格主導権には、商品に独自性があり、かつ模倣されないことが必要です。そのためには、独自技術の開発と知財の獲得が必須です。
独自技術と知財が必要といえば、「そんな事は分かっている」という声が聞こえそうです。
しかし、それを現実に出来る会社は少なく、低収益に苦しむ経営者は少なくありません。
本書ではそうした状態を打開し、今は低収益だったとしても、独自技術と知財により、価格主導権のある経営を実現する方法を解説しています。
本書で提案する成熟メーカーの高収益モデルは、独自技術による差異化と知財による参入障壁の構築により価格主導権を獲得するものです。
一見古くて当たり前に思えるこの高収益モデルですが、実践出来ている会社は少数です。頭で理解することと実践できることとは違います。「言うは易し行うは難し」の言葉があるように理解と実践は違うのです。
高収益モデルを経営者が頭での理解を超えて資源配分できるようになって初めて、会社として実践できるようになります。つまり、独自技術と知財が獲得できるのです。
独自技術と知財の重要性は認めながらも、結局はコスト勝負が現実だとお思いの経営者の方もおられると思います。
確かに一面正しいものの、独自技術と知財の重要性は変わりません。なぜなら、コスト勝負の市場でも低コスト生産の独自技術を作り、競合に模倣されないように知財化する必要があるからです。経営者はそのための資源配分を実現できなければなりません。
本書の想定している読者は経営トップ、主に社長です。技術戦略・知財戦略というのは、社長が考える事ではないと思われるかも知れませんが、成熟メーカーで独自技術と知財をなくして、どうして競争優位になると言うのでしょうか。
独自技術で知財化を実現し、価格主導権を獲得するには、社長にしかできない仕事をしなければなりません。
それは、独自の資源配分です。
最終成果として独自技術と知財が生まれるようにヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を配分します。経営資源をどのように配分するのかを最終成果から考える、これが本書で一貫して主張する経営者に求められる考え方です。
本書では、そうした経営者の考え方を解説しつつ、一部で研究開発のやり方・実務を解説します。その研究開発のやり方を「キラー技術開発法」と言います。キラー技術とは、独自技術で特許などの知財が取得できる技術のことです。
キラー技術開発法では、社内技術を活かしてキラー技術を開発します。社内技術を活かせば、速くでき、速さは独自性へと結実します。なぜなら他社より速く開発に成功すれば、オンリーワンの状態になれ、知財がとれるからです。
社内技術を活かすため、畑違いの努力をする必要はありません。
そう、あなたの会社でも実現出来るのです。
実現に際して経営トップに必要なのは、細かなやり方の勉強をすることではありません。
細かなやり方はコンサルタントを含めて専門家を利用し、むしろ自らは大方針を立案し、繰り返し発信することに務めるべきだというのが本書の主張です。
なぜならば、技術と知財の実務の細かな点を提供する専門家を利用すれば良いからです。経営者が大方針を立てて繰り返し発信することで、研究開発の効率は飛躍的に高まります。
大方針をブレず、曲げず、貫く。これはトップにしかできない仕事です。
これだけでも相当悩むはずですし、消耗するはずです。
しかし、貫くために自己修練をするトップにのみ味わえる境地があります。
ブレずに大方針を貫き、新しい技術を開発した末に待っているものはなんでしょうか。
それは高収益です。
ただ、それだけではありません。
本書では、高収益にする仕組みの構築を紹介しますが、仕組みの運用をすることにより、あなたの会社がさらに高収益を期待できる体質に生まれ変わります。一発のヒット商品で終わりではなく、独自技術を核にしてヒット商品を次々と出し続けられるようになるということです。
ただし、繰り返すようですが、キラー技術開発法の理解と実践は違います。本書では、経営者に求められる思考方法を解説しつつ、できるだけ具体的なことも記載しました。本書を参考にして理解するだけでなく実践して頂きたいと思っています。
あなたが高収益メーカーの経営者として飛躍されることを願っています。
目次
第1章 常識通りで高収益になると思っていないか?
技術企業の社長に研究開発の参謀が必要な理由
本書執筆の経緯
研究開発の専門家がいないことに気付いているか?
社長なら世間の常識を疑って当たり前
価格勝負の市場では打つ手が無いと思っていないか?
世間の常識で経営していて良いのか?
粗利90 %の商品開発に成功したA社
社長が考え方を根本的に変えるまで
高収益商品開発に成功したA社の事例
顧客要望対応型の開発で満足していないか?
1新規顧客への要望対応では
2既存顧客への要望対応では
顧客の潜在課題に着目する
知財はなんの役にも立たない
ただの知財と業績の関係 NECの例
知財に対する社長のスタンスは
優秀な人がいたら儲かるのか
高収益社長が求める優秀さとは?
「優秀な人が独自性を生み出す」のウソ
会社を高収益に導く経営者が絶対持つべき視点
第2章 低収益ものづくり企業の実態
低収益企業のビジネスは
商品に独自性はあるか
知財はどうか
低収益になる構造
投資の使い方
「やるべきことをやっている」意識
低収益になる3つの要因
原因1 キラー技術のない事業でも
原因2 知財のない事業でも
原因3 意見を言わない社員でも
第3章 高収益を生み出す原理・原則
顧客要望対応で減益になる合理的な理由
増収なのに減益になった事例 「貧乏暇なし」を避けるためにやめること
高収益の原理原則
経営者が陥りがちな思考の罠
典型的思考の癖
「売れるか、できるか」思考が危険な理由
高収益の原理原則
高収益の原理原則1競争戦略
高収益の原理原則2知財の質
原理原則を現実に適用する
独自性のあるものを
中長期投資ができない構造要因を
原理原則が適用できない2つの理由
理由1経営者が注意すべき言動
理由2理解と実践は違う
高収益を実現する仕組みとはどのようなものか?
側面1.独自性を実現する仕組み
側面2.知財面の仕組み
第4章 高収益化の帝王学を意識しているか
経営者の帝王学
本物の経営者は粗利 20%台をどう評価するか?
本物の事業継続性の判断基準
本物の経営者が持っている感覚は
高収益経営とは資源配分の巧みさ
井戸の見極め、という感覚
資源配分ゲームの感覚
独自性を追求する感覚
採用と調達をどう考えるか
「忙しいから人が必要」は愚の骨頂
コスト勝負の市場ではどう捉える
高収益社長の資源の調和
独自技術と潜在課題のマッチングを設計する感覚
経営者が本質を追求する感覚
仏には魂も入れる感覚
経営者自身の立ち位置
自分が何者かの自覚
必要な資源に関する感覚
ドラマを動かせる感覚
第5章 高収益R&D・仕組み作りの進め方
ステップ1.高収益化可能性の診断
あなたの会社にも高収益R&Dの仕組みができる理由
プレ調査・現状の把握・診断
ミドルアップ・トップダウンアプローチ
ステップ2.技術戦略の検討
技術戦略策定の進め方
「正しい」自社技術の棚卸し
コア技術がない場合の対応策
本質的ニーズに迫ることの重要性
潜在課題の発掘 テーマ段階で検証しなければ失敗する
畑違いの技術でもモノにする
ステップ3.研究開発の推進と仕組みの構築
高収益企業の特許出願の仕組み
質の高い知財を考える仕組み
素人判断の危険性
技術開発の仕組み
ビジネスモデルを検討する仕組み
粗利 90%なら必ず発生する課題がある
仕組みの要件
要件1.社員が運用できる文書があること
要件2.経営者が運用すること
第6章 高収益達成・次のステージへの飛躍
読者への行動提案
行動提案1 正しいコンサルタントの「選択」と「調達」
行動提案2 エースの投入
行動提案3 潜在課題を解決する独自技術開発への投資
粗利 90%商品開発成功の日
金のなる木はこうして生まれる
粗利 90%達成の後は何をするか?
仕組みの効果は雪だるま式に膨らむ
雪だるま式に膨らむ理由
一流企業への飛躍