
開発テーマはROICと相性が良いと言われますが
研究と比べると、開発テーマはROICと相性が良いと一般に言われます。市場が見えており、顧客や用途が明確で、売上や利益へのつながりを比較的想定しやすいからです。そのため、開発部門ではROICを軸にした管理や評価が行いやすいと考えられがちです。しかし、この前提を無批判に受け入れることには注意が必要です。
数値化しやすいことと、数値で管理すべきことは別です

確かに開発テーマは数値化しやすい領域です。しかし、数値化できることと、数値で厳密に管理すべきことは同義ではありません。ROICを細かく設定し、短期的な数値達成を重視しすぎると、開発テーマは「確実に数字が立つもの」に偏りがちになります。その結果、将来の成長につながるテーマが選ばれにくくなるという逆説が生まれます。
短期志向が招く、開発テーマの小粒化
ROICを短期的な管理指標として使いすぎると、開発テーマはどうしても改良型や延長線上のテーマに集中します。既存顧客の要望に応えること自体は重要ですが、それだけでは競争環境が変化したときに対応できません。短期的な効率を追い求めた結果、企業としての成長余地を自ら狭めてしまうケースは少なくありません。
事業部長が本当に知りたいのはROICの数字だけではありません

事業部長や経営層が開発テーマに対して本当に知りたいのは、「ROICがいくつになるか」という数字そのものではありません。それ以上に重要なのは、そのテーマが事業の成長にどう貢献し、競争優位をどのように築くのかという点です。ROICはその結果として現れる指標であり、出発点ではないのです。
事業部長の課題とすると収益性と成長性を両方追求することとなりますが、この収益性と成長性と言う指標のままでは、技術者にとって理解容易な指標とはなりません。技術にとって理解、容易な指標であり、実務に落とし込める指針にするためには、別の指標が必要となります。それが「顧客の潜在ニーズの解決」と言う翻訳です。
問うべきは「売れるか」ではなく「儲かるか」です

開発テーマの評価において、「売れるかどうか」は重要な問いです。しかしROIC経営の文脈では、それ以上に「儲かるかどうか」を問う必要があります。顧客にとって意味のある差別化があるか、競合が容易に追随できない要素があるか、その優位性が持続可能かどうか。これらを考えずに数値だけを積み上げても、ROIC向上にはつながりません。
開発テーマの評価軸は「競争優位性」に置くべきです
ROIC経営下における開発マネジメントでは、評価軸を競争優位性に置くことが重要です。顧客価値の独自性、技術の独自性、コスト構造や供給体制の優位性など、どこで勝つのかを明確にする必要があります。この視点を持つことで、ROICの数字は結果として説明できるようになります。
「顧客の潜在ニーズの解決」と言うテーマ性のあるマネージメントをすれば、競争優位性だけでなく、技術の独自性が伴ったテーマが立案されます。そうすることで「儲かるか」の指標において、高い評価を得るテーマを立案することができるのです。
テーマの「入口」と「出口」を切り離してはいけません
多くの企業では、テーマ創出(入口)と評価・判断(出口)が分断されています。テーマ立案時には競争優位性が語られていたにもかかわらず、評価段階では売上や利益の短期数値だけが問われる、といった状況です。

この分断がある限り、ROIC経営に資する開発テーマは育ちません。入口と出口で同じ問いを投げ続けることが不可欠です。テーマの提案段階、すなわち、技術者が手を動かし調査をする段階において、「潜在ニーズの解決」と言うマネジメント指針を掲げます。そうすることで、技術者は顕在的な課題ではなく、潜在的なニーズを探るようになるのです。
さらに出口である企画の審査段階で、「儲かるか」と言う観点での評価を加えます。これは競争優位性の有無や強弱に関する判断ですが、言葉を変えると「顧客の潜在ニーズを解決しているものか」となるため、技術者の企画段階での業務と合致するのです。入り口と出口を一致させるとはそういうことです。
ステージゲートは「止める仕組み」ではなく「選び直す仕組み」です
ステージゲートは、テーマを止めるための仕組みではありません。本来は、状況の変化に応じてテーマを選び直し、資源配分を見直すための仕組みです。競争優位性が弱まっていないか、仮説は依然として成立しているかを問い続けることで、ROIC向上につながるテーマに集中することができます。
開発マネジメントの本質は、経営と現場の翻訳にあります
ROIC経営における開発マネジメントの本質は、数値で縛ることではありません。経営が求める資本効率と、現場が向き合う技術や顧客課題を翻訳し、両者を接続することです。競争優位性という共通言語を軸に据えることで、開発テーマはROIC経営の中で健全に位置づけられるようになるでしょう。
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