この記事を読んでいただく方は、以下のような方を想定しています。
- 潜在ニーズを先取りすることが重要だと知りつつ、実践できていないと感じている研究開発責任者
- 「技術マーケティング」をしなければと思いつつ、技術マーケティングとは何か、具体的に明確にできない研究開発責任者
- IPランドスケープを実践したいと感じている知財責任者
本記事は「技術マーケティング」に関する応用的、実践的解説記事です。「技術マーケティングとは何か?」については、「BtoB技術者の技術マーケティングがざっと分かる解説」で解説していますので、ご参照ください。潜在ニーズに関してはこちら。
技術マーケティングに関するよくある課題は以下のようなものです。
- よくある課題1.自社の技術者がお客様の要望に対応しがちで戦略性がないと感じている
- よくある課題2.業界が成熟しており、改良のニーズはあっても儲からないか、改良ニーズ自体がない
- よくある課題3.潜在ニーズの先取りの重要性はよく分かっており、過去に研修をしてみたが、定着しなかった
目次
潜在ニーズを先取りする技術マーケティングにはどういうメリットがあるのか?
ここでは2社の事例を共有します。
当社の研修プログラムを通じて、この仕組を導入・定着させたある会社(A社)の経営者は、こう言われています。
「これまでは、お客様の要望に受け身で対応することばかりだったが、研修で提供された『潜在ニーズ先取りマニュアル』にを利用して、技術者の検討が優れたものになった」
というのは、導入後、A社では、営業部門・研究開発部門の情報の連携が起こり、研究開発部門で、従来では検討していなかった研究開発テーマが創出できたのです。
別の会社(B社)の経営者はこう言われています。
「従来型のテーマばかりでつまらなかったところが、潜在ニーズの先取りに関して教わったことで、テーマが非常に面白くなり、期待が持てるようになった」
それまでB社は、顧客要望対応型だったためいわゆる「下請け」だったのです。しかし、導入後は、①顧客の潜在ニーズを先取りし、②他社が実施しておらず、③特許も取れるもののみを検討しています。
技術マーケティングを実践することにより、会社全体として価格主導権を取り戻し、競合との競争を優位に進めることが出来ます。
潜在ニーズを先取りする技術マーケティングとは?
技術マーケティングとは、自社の基盤技術を使った新規事業の創出方法です。潜在ニーズに着目して新規事業を創出します。以下の図のようになります。
上記Aは新規用途探索、上記Bは既存顧客の潜在ニーズ発掘となります。AとBが現場で連続的に行われることによって、潜在ニーズを先取りするスタイルでの研究開発が可能になるのです。そして、飛び地に行けるようになります(C)。
技術マーケティングの要素とは、
① 潜在ニーズを先取りする活動
② 用途探索活動
③ オープンイノベーションなどで技術調達する活動
④ IPランドスケープなど情報収集・検討活動
となります。
あなたの会社の技術者が、潜在ニーズを先取りできるようになる、その理由とは?
「潜在ニーズ」とは、将来出てくるニーズのことです。反対語として「顕在ニーズ」があります。
顕在ニーズは、別名「顧客要望」。技術者や営業マーケがこれに対応すると収益性が低下します(詳しくはこちら「顧客要望対応は減益を招く罠」)。一方、潜在ニーズはお客様が教えてくれません。そのために、通常のやり方では先取りできないことが課題となります。
「潜在ニーズを先取りすることは重要」というのはよく聞きますが、その方法論は形式知になっていないため、「できる人はできるが、できない人はできない」という属人的なものとなります。
「できる人」は優秀な人材が集う大企業で10人に1人、中小企業ではそれ以下なので、会社全体としてできる状態には程遠いと言えるでしょう。
だれでも潜在ニーズの先取りができるようになるために必要なものがあります。
それは潜在ニーズ先取りマニュアルです。
あなたの会社には、潜在ニーズを発掘するためのマニュアルがあるでしょうか?マニュアルがあるからこそ、多くの技術者が実践可能になるとは思いませんか?そんなマニュアルがあれば、技術者に広げていきたいと思いませんか?
あなたの会社の技術者が用途の探索をできるようになる、その理由とは?
潜在ニーズ先取りマニュアルのコンテンツに、用途探索の方法があります。
技術者は、用途探索を日常的に実施しなければなりません。重要なことなのでもう一度書きますと、技術者は用途探索を日常的に実施しなければなりません。
「事業部開発の技術者はしなくても良いんでしょ?」とよく聞かれますが、そうではありません。事業部の技術マーケッターこそ、用途探索をするべきです。
用途探索とは、下図に示す通り、自社技術に関連した新規商品を探索することです。(方法について、詳しくはこちら「用途探索方法」をご覧ください)
A.用途探索…新規用途探索は、技術マーケティングの一部
B.潜在ニーズ探索…潜在ニーズを探索する、技術マーケティングの一部
C.飛び地の進出…用途探索と潜在ニーズ先取りを連続的に行う
あなたの会社には、用途探索ができるマニュアルがあるでしょうか?
あなたの会社の技術者が顧客ニーズの深堀りできるようになる、その理由とは?
潜在ニース先取りマニュアルの中には、潜在ニーズの深堀り方法があります。
BtoC産業での顧客ニーズの深堀り
BtoC産業での顧客ニーズの深堀りには、マクロトレンド調査、消費者調査、フォーカスグループの設定、インタビューなどの方法があります。
あなたの会社には、こうした業務を遂行するためのマニュアルはありますか?
BtoC企業での技術マーケッターは、こうした方法論に長けていなければなりません。そうしなければ、販売に近いマーケッターの下請けに近い状態になりえます。
BtoB産業での顧客ニーズの深堀り
BtoB企業での顧客ニーズの深堀りには、知財情報を始めとしたIPランドスケープが重要となります。技術マーケッターは、当たり前に知財調査を行い、顧客課題の調査ができなければなりません。
あなたの会社には、こうした業務を遂行するためのマニュアルはありますか?
IPランドスケープの原則
知財情報は既知の課題ばかりなので、新規課題を作り出すことが重要となります。
知財情報の中に新規課題の答えがあると思ってはいけません。新規課題は、技術者の知⾒や営業の要求から創作・考案することが⼤切なのです。
あなたの会社の技術者は、このような原則をご存知で、実践できているでしょうか?
このような、勘所やコツが分からなければ、「IPランドスケープとやらをやってみたが、知財情報から何も得られないではないか」などという感想を持つなど、何も結果が出ないことになります。
潜在ニーズを先取りする技術マーケティングの仕組み構築モデルケース
潜在ニーズを先取りする技術マーケティングを、どのように会社に導入し、定着を図るのでしょうか?また、それにより、どのような経営上の効果を得るのでしょうか?
上記図のように、経営目標と技術マーケティングの連携を図ることが必要になります。
技術マーケティング活動、及びテーマ創出は、個人目標に落とすことができます。例えば、自社技術の用途探索に関する目標設定、既存顧客の潜在ニーズ先取りに関する目標設定などです。
テーマは研究開発組織で実施することとなりますので、KPIとすることができます。例えば、研究開発グループごとに年間◯件のテーマ提案を行うKPI、人数あたり◯件のテーマ提案をすることなどです。
また、ステージの移行を効率よくしなければなりません。この場合には、ステージの移行確率がKPIとなります。
上記のように、経営目標ーKPIー個人目標と連動させていくことで経営目標をコミットすることができるようになります。
あなたの会社でも、経営目標とKPI、個人目標を連動させた、潜在ニーズを発掘する技術マーケティングの仕組みを作りたいと思いませんか?
あなたの会社でも、経営目標とKPI、個人目標を連動させた、潜在ニーズを発掘する技術マーケティングの仕組みを作りたいと思いませんか?
技術マーケティングにおいて重要なことは?
上記のような一連の流れを実施する上でもっとも大きな阻害要因は何でしょうか?
それは、経営トップが改革の意思がないことです。口では「新規事業を立ち上げてほしい」と言っても、現場に関心を持たないタイプのトップが典型です。
また、抵抗勢力があることも問題となります。抵抗勢力がある場合には、巻き込むなどの対応が必要になりますが、結果を出したいのであれば、異動させることも選択肢とするべきです。そのため、経営者が意思決定をすることが大切になります。
お打ち合わせ|詳しい資料を差し上げています
潜在ニーズを先取りする技術マーケティングの仕組みを構築するための検討を進めたいと思いませんか?
とはいえ、「技術マーケティングってなに?」「潜在ニーズってなに?」という関係者・上司の方もおられるのではないでしょうか?会社で物事をすすめるには合意形成が必須となりますので、現在、関連する資料を見ながらの打ち合わせを進めています。
打ち合わせは無料ですので、遠慮なくお申し込みください(ZOOM、TEAMS、MEET等で実施できます)。打ち合わせ後に、こちらから何度も電話をかけるなどの無理な営業行為は一切しておりません。安心してお問い合わせください。
資料の目次は次のようなものです。なお、この資料は、当社で実施するセミナーと同じ内容です。お打ち合わせをご依頼の企業の方に、特別に開示しています。
資料の目次
1.潜在ニーズとはなにか?なぜ技術者に技術マーケティングが必要なのか? |
(1)高収益企業の特徴とはなにか? 両利きの経営とは? (2)ある型の事業は高収益という特徴がある (3)研究開発投資の効果をどのように評価するのか? (4)研究開発投資対効果が悪い原因は何か? (5)求められるテーマの性質とはなにか? (6)高収益にするための研究開発戦略とは? |
2.潜在ニーズを発掘する技術マーケティング、その内容とやり方とは? |
(1)潜在ニーズを先取りする技術マーケティングが必要な3つの理由 (2)技術マーケティングを成立させる3つの条件 (3)技術マーケティングの全体像とはどんなものか? (4)技術マーケティングにはどんな道具が必要なのか? (5)技術マーケティングの事例 (6)技術マーケティングのやり方 その1 潜在ニーズの発掘 (7)技術マーケティングのやり方 その2 技術カタログ (8)技術マーケティングのやり方 その3 顧客とのロードマップの共有 (9)技術マーケティングのやり方 その4 顧客への提案と共同研究の獲得 |
3.技術者が潜在ニーズを発掘する方法とは? |
(1)ソリューション型のテーマ創出が必要な3つの理由 (2)ソリューション技術開発の3つの条件 (3)潜在ニーズの発掘方法 自社技術の用途探索とは? (4)潜在ニーズの発掘方法 顧客課題の深堀り、先読みとは? (5)VFTマトリックスで価値ベースの技術抽出ができる、その方法とは? (6)「といえば法」でコア技術のアプリケーションがどんどん広がる、その方法とは? (7)技術マーケティングを組織に展開したA社の事例 (8)会社全体に展開する方法論とは? (9)営業利益率10%にするための技術マーケティングとは?チェックリスト |
4.潜在ニーズを発掘する技術マーケティングを企業全体に展開し、両利きの経営につなげる |
(1)潜在ニーズ発掘を企業全体に展開する3つのメリット (2)なぜ、従来型の研修ではダメなのか?アンゾフ成長マトリクスの限界 (3)個々人への波及効果が出る方法とはなにか? (4)波及方法の実践事例 (5)技術マーケティング1.自社技術の棚卸し (6)技術マーケティング2.技術カタログの作成 (7)技術マーケティング3.潜在ニーズのアンテナ (8)技術マーケティング4.自社技術展開の網羅的把握 (9)技術マーケティング5.潜在ニーズの深堀り (10)技術マーケティング6.競合分析とテーマ創出 |
5.技術マーケティングとIPランドスケープ |
(1)技術マーケティングとIPランドスケープの関係性 (2)技術者が何をしたいのか、なぜ必要なのか? (3)IPランドスケープの支援サービスとは? (4)IPランドスケープに必要なツール群・教育の整備 (5)潜在ニーズの発掘とIPランドスケープ (6)IPランドスケープ・知財サービスのデザインはどうあるべきか? |
6.高収益企業へのビジネスモデル変革 |
(1)高収益企業への変革4つのステップ (2)自社の状況の可視化方法はどのようなものか? (3)自社状況の可視化の3つの視点とはどのようなものか? (4)日本企業のビジネスモデル変革で重要な視点は、、、? (5)ビジネスモデル変革に取り組む組織体制と実行の条件 (6)ビジネスモデル変革の実例と変革のスケジュール |
7.まとめ |
研究開発ガイドライン/カタログのご案内(お問い合わせ)
研究開発部門の高度化や人材開発を担う担当者のために、研究開発ガイドライン「虎の巻」をお送りしています。あわせて、技術人材を開発するワークショップやコンサルティングの総合カタログもお送りしています。
部署内でご回覧いただくことが可能です。
しつこく電話をするなどの営業行為はしておりません。ご安心ください。