技術マーケティングとは?
当社では、これまでのメーカー支援経験から、特に化学・材料メーカーにおける技術マーケティングを次のように捉えています。
技術マーケティングとは、化学・材料・部品メーカーが自社技術の課題解決能力を言語化・可視化して市場に提示し、顧客の潜在課題を発掘しながら、営業と技術が共同で用途開発を高速化し、競争優位性のある事業へつなげる活動である。
技術マーケティングという言葉は、かなり曖昧に使われています。技術を起点にしたマーケティング、技術者によるマーケティング、BtoB企業のマーケティング、新規事業開発、潜在ニーズ探索など、会社や人によって意味する活動が異なります。もちろん、言葉の定義に唯一の正解があるわけではありません。
しかし、実務では「技術マーケティングを強化する」と言ったときに、具体的に何を変えるのかが分からなければ意味がありません。重要なのは、単に顧客ニーズを聞くことではありません。自社技術を新しい用途に展開し、その用途で潜在的な顧客課題を発見し、必要であれば新しい技術要素まで獲得しながら、競合より早く事業化することです。さらに、その過程で模倣されにくい技術や用途を見つけられれば、特許などによって競争優位性を固定することもできます。
技術マーケティングについては「BtoB技術者の技術マーケティングがざっと分かる解説」でも取り上げていますので、合わせてご参照ください。なお、技術マーケの本質は潜在ニーズの発掘です。潜在ニーズに関してはこちらをご覧ください(別記事)。
なぜ「技術マーケティング」は曖昧になりやすいのか
技術マーケティングという言葉を広く捉えれば、セットメーカーでもIT企業でもサービス企業でも使うことができます。しかし、対象を広げすぎると、技術マーケティングによって「何を実現するのか」がぼやけてしまいます。
当社がこの言葉に最もしっくりくると考えているのは、化学・材料・部品メーカーの用途開発です。化学・材料・部品メーカーでは、一つの技術や材料が複数の用途へ展開できることがあります。例えば、ある粘着技術、表面処理技術、樹脂技術、断熱技術などについて、開発時点ですべての用途が分かっているとは限りません。
「この特性なら別の市場のこの問題も解決できるのではないか」という仮説を立て、新しい用途へ技術を提示し、顧客から情報を得ながら製品と用途を同時に開発していきます。この活動には、一般的なマーケティングとは異なる、技術と市場を往復するプロセスが必要です。
実際、日東電工は「三新活動」を、新用途開拓と新製品開発を通じて新しい需要を創造する独自のマーケティング活動と位置づけています。既存製品の新用途を探して技術を追加する方向と、新技術・新製品から用途を広げる方向を組み合わせています。
これは、ここでいう技術マーケティングのイメージにかなり近いものです。
技術マーケティングの目的は「用途開発を速くする」ことである
技術マーケティングを行う最大の意味の一つは、用途開発のスピードを上げることです。材料を開発してから展示会に出し、問い合わせが来るまで待ち、顧客から要望を聞き、それから技術部門に相談する。
このやり方でも案件は生まれます。しかし、一つひとつ顧客から教えてもらっていては時間がかかりますし、競合も同じ顧客から同じ話を聞いている可能性があります。技術マーケティングでは順序を変えます。
技術シーズ
↓
何の課題を解決できる技術なのかを言語化
↓
有望用途を仮説化
↓
技術・ソリューションとして市場へ提示
↓
顧客から反応・潜在課題を得る
↓
用途を具体化
↓
不足する技術要素を開発・獲得
↓
顧客評価
↓
知財・競争優位性を確保
↓
事業化これを意図的に繰り返すことで、「材料を作ってから用途を待つ」のではなく、技術と用途を並行して育てていきます。3Mも現在、複数の技術プラットフォームを組み合わせてさまざまな業界へ製品を展開し、新製品の事業化プロセスでは顧客需要への対応と競争力向上を確認するとしています。
技術マーケティングの実務
自社の基盤技術を活かした顧客課題解決型の事業創造
技術マーケティングの別の側面として、自社の基盤技術を活かした顧客課題解決型の事業創造のことを意味します。下の図に示す通り、①顧客から学び、研究開発にフィードバックすることと、②技術をソリューションで見せることで潜在課題を効果的に発掘することの両方が必要です。

顧客からの学習によって基盤技術が充実し、基盤技術によって顧客に提供するソリューションが増えます。このサイクルを回す事が大事です。
もう少し詳しく書くと、以下の流れとなります。
自社保有技術を棚卸し
↓
適用用途を探って技術を仕込み(技術プラットフォーム)
↓
ソリューション技術を考案、試験提供
↓
潜在課題発掘
↓
ソリューション技術を拡充
技術プラットフォームと課題解決の関係性
技術プラットフォームは基盤技術とも言います。技術プラットフォームによって、顧客課題の解決が図られることが望ましいのです。
技術プラットフォームには他に、以下のような類似キーワードがあります。当社では以下のように整理していますが、読者の皆様が会社で整理する時も、指針に沿った整理が必須となります。当社では、技術プラットフォームは「顧客課題の解決のために準備された技術群」と定義していますが、技術マーケティングの活動では技術プラットフォームの形成を一緒に進めるのが重要です。すなわち、営業的活動だけでなく、技術的活動も一緒に実施することが重要です。
- 技術プラットフォーム…顧客課題の解決のために準備された技術群
- コア技術…差異化要素を発揮する技術(群)
- 基盤技術…製品を製造するために必要な技術(重要性が高いもの)
- 周辺技術…製品を製造するために必要な技術(重要性が低いもの)

技術マーケティングには二つの「翻訳」が必要である
技術マーケティングでは、営業と技術の間で情報を二方向に翻訳する必要があります。
一方向目は、技術 → 顧客価値です。技術者が持っている技術シーズを、「どのような顧客課題を解決できるのか」という言葉へ変えて市場へ提示します。
もう一方向は、顧客課題 → 技術課題です。顧客から得た潜在課題を、「それを解決するためには、どのような性能・技術要素が必要なのか」へ変換して研究開発へ戻します。
この二方向の翻訳が高速に回る状態が、技術マーケティングの一つの理想形です。
技術マーケティングにおける営業の役割は、単に商品を売ることでも、顧客要望を技術部門へ伝えることでもありません。技術を顧客価値へ翻訳し、顧客の潜在課題を技術課題へ翻訳することです。
最大の問題は「顧客要望を持ち帰る営業」ではない
技術マーケティングがうまく機能していない企業では、営業担当者が顧客から、「もっと薄くできないか」「もっと耐熱性を上げられないか」といった要望を聞き、それを技術部門へ持ち帰ります。
一見すると、営業と技術が連携しているように見えます。しかし、これは必ずしも技術マーケティングではありません。単なる顧客要望対応だからです。
さらに問題なのは、営業担当者自身が、「うちの技術部門ではこれは無理だろう」「この話を持ち帰っても技術に嫌がられる」「今の設備ではできない」と考え、顧客課題を社内へ持ち帰る前に縮小してしまうことです。
私はこれを、営業が技術部門に「忖度している」状態だと考えています。この状態では、会社に入ってくる顧客ニーズが、常に「今できること」の範囲内になります。すると研究開発テーマも、既存材料の改良、既存商品のスペックアップ、特定顧客の個別要望対応へ偏っていきます。
短期的には売上につながることがあります。しかし、競合も対応できるものであれば、長期的な競争優位性にはなりません。
営業は技術部門に忖度せず、潜在ニーズへの翻訳を試みる
営業が本当に持ち帰るべきなのは、「現在の自社技術で対応可能な顧客要望」だけではありません。
例えば顧客との対話から、
顧客が本当に実現したいことは何なのか。
現在どの工程で困っているのか。
なぜ現在の材料では不十分なのか。
将来どのような性能が必要になるのか。
を掘り下げます。
そして、「この潜在課題を解決するためには、現在の自社技術だけでは足りず、○○という新しい技術要素が必要なのではないか」というところまで考えて研究開発へ返します。
ここで重要なのは、今できるかどうかで顧客ニーズを切らないことです。
もちろん、最終的には投資判断が必要です。自社で開発するのか、外部技術を導入するのか、他社と連携するのか、テーマそのものを見送るのかは、その後判断すればよいのです。営業段階で可能性を消してしまえば、その判断機会そのものが会社から失われます。
技術部門も「今できない」で終わらせない
同じことは技術部門にも言えます。営業から、「顧客にはこういう潜在課題があり、これを解決すれば大きな価値が出そうだ」という情報が来たとき、「当社にはその技術がない」だけで終わってしまえば、新しい用途は生まれません。
技術部門には、
・現在の技術を組み合わせればできないか
・新しい技術要素を開発できないか
・外部技術を取得できないか
・大学・スタートアップ・他社と組めないか
と考える役割があります。
営業が技術部門に忖度せず、技術部門も現在の技術に閉じない。この関係ができて初めて、顧客の潜在ニーズから新しい競争優位性をつくることができます。
顧客要望対応を続けると「ゾンビテーマ」が増えやすい
顧客要望への対応そのものが悪いわけではありません。既存顧客を維持するうえでは重要です。問題は、それが研究開発テーマ創出の中心になることです。「この顧客が欲しいと言ったから」という理由だけで改良テーマを積み上げていくと、競合との差別化が弱い、特許による防御が難しい、顧客ごとの個別対応が多い、技術者の工数だけが増えるといったテーマが蓄積しやすくなります。
当社では、こうして「止めにくいが成長にもつながらない」状態になった研究開発テーマを「ゾンビテーマ」と表現しています。技術マーケティングの役割の一つは、顧客要望を集めることではありません。競争優位性につながる潜在ニーズを発見し、それに研究開発資源を向けることです。
こうした業務を繰り返すと、アンゾフマトリックスが実践可能になる

A.用途探索…新規用途探索は、技術マーケティングの一部
B.潜在ニーズ探索…潜在ニーズを探索する、技術マーケティングの一部
C.飛び地の進出…用途探索と潜在ニーズ先取りを連続的に行う
技術マーケティングの事例
技術マーケティングの事例で最も有名なのは、技術プラットフォームと同様に、3Mです。
3Mは、整備された技術プラットフォームを運用することにより、優れた技術マーケティング活動を行っています。
詳しくは「技術プラットフォーム」の記事もご参照ください。
その他、日東電工を始めとする日本の化学メーカーでも、同様の技術マーケティング活動がなされています。
セットメーカーでは、キーエンスが著名な事例です。営業で有名なキーエンスでは、営業段階では技術者を投入せずに、営業だけでセットもの、ソリューション型の提案ができることで有名です。
また、潜在課題を情報収集するためのニーズカードなどの事例も知られています。
技術マーケティングを利用した高収益事業のあり方
技術マーケティングと言ってもピンと来ないと思いますので、事例に基づいて技術マーケティングが出来た場合の良いことをご紹介します。
最初に、技術マーケティングができていない例を取り上げます。
クライアントA社の事例です。
A社では技術マーケティングがそもそもできておらず、次のような状態が続いていました。
A社では、新商品の試作品が出来上がったら、展示会に出展するのです。そうして、引き合いを獲得します。
引き合いには営業担当者が訪問し、お客様の関心事を聞いていきます。
そうすると、お客様に「こんな事ができないか」と言われるのです。
お客様に言われたことには、その場で答えられないものも多く、「持ち帰って確認します」と多くは持ち帰ります。
「シメシメ、要望を持ち帰ったぞ」
A社の営業担当者は、このように持ち帰ることが当たり前だと思っていました。
なぜなら、技術者を顧客の所に同行させて、案件をものにするのが自分の仕事だと思っていたからです。
「次のアポに同行してくれない?」営業はそう言って、技術者を同行させます。そうして、顧客要望に対応した商品として改善したものを見積もりに
するという訳です。
IT、電機、化学等、産業に関わらず、このような事業形態は少なくありません。しかしながら、こうしたビジネススタイルでは高収益にはなりません。
何故かと言うと、要望に対応するために技術者に聞かなければならないからです。技術者が対応しなければならないのは、それだけ時間や手間をかけるということです。売上を上げるためとは言え、営業一人で対応できるのが望ましいのは言うまでもないでしょう。
本来であれば、A社では、このようなことが起こっていなければなりませんでした。
それは、顧客に「こんな事出来ないか?」と言われた時です。
営業担当者は「待ってました」とばかりに、自社の技術カタログを開かなければなりません。技術カタログには、対応する技術が書いてあります。
「この技術であれば、できそうですよ」と回答してスペックを聞き出すためです。
そして、スペック情報を社内に持ち帰り、技術担当に打診します。
そうすると、技術者は「待ってました」とばかりに、顧客のスペックを実現する技術を、まるで引き出しにすでにあったかのようにスッと出すのです。
顧客に言われそうなことは、全て想定問答として把握しておきます。そして、技術プラットフォームを技術カタログとして準備しておくのです。顧客課題を解決する技術を予め想定し、顧客に提案可能な状態にしておくのです。
A社では、このように本来の望ましい状態には遠い状態でした。
技術マーケティングの推進上の課題
技術マーケティングを運用する部署は、営業に近い部署です。企業により様々なパターンがありますが、部署名で言えば、事業企画部、研究企画部、新規事業開発部などの事例があります。
このような部署では、ある程度「仕事の型」が決まっています。社員の中には「仕事とはこんなもの」、という共通の認識があるでしょう。例えば、大手総合商社では、「営業とは粗利1億を稼ぐ仕事である」という暗黙の共通認識があります。
コンサルタントとしての経験で言えば、技術マーケティングが不十分な会社では、このような慣習は否定的に取り扱っていく必要があります。なぜならば、すでに触れましたが、A社のような仕事の型は低収益になるための業務だからです。営業が強い会社で、顧客の声に率直に従って商品開発をすれば、ほぼ必ず低収益になるのです。
「シメシメ、要望を持ち帰ったぞ」
A社の営業担当者は、このように持ち帰ることが当たり前だと思っていました。
なぜなら、技術者を顧客の所に同行させて、案件をものにするのが自分の仕事だと思っていたからです。
「次のアポに同行してくれない?」営業はそう言って、技術者を同行させます。そうして、顧客要望に対応した商品として改善したものを見積もりにするという訳です。
こうした従来業務がなぜ、低収益なのかと言えば、3つあります。
①営業がその場で解決出来ない(二度手間)
②技術者がわざわざ出向く(複数の担当者になる)
③大した独自技術もできないし、知財も取れないため、儲からない
そのため、このような仕事の型が定着している場合には、その型を否定していく必要があるのです。当然、技術マーケッターの新たな型を作らなければなりません。
営業と技術の役割はどう変わるのか
技術マーケティングが機能すると、営業と技術の役割が変わります。
| 項目 | 従来型 | 技術マーケティング型 |
|---|---|---|
| 営業の役割 | 商品を売る | 用途を開発する |
| 顧客情報の取り扱い | 要望を聞く | 潜在課題まで掘る |
| 技術理解の深さ | 技術者へ聞く | 自社技術の可能性を説明できる |
| 技術への伝達 | 顧客の要望を伝える | 顧客価値と必要技術を伝える |
| 技術部門の役割 | 要望されたものを作る | 潜在課題を解く技術を考える |
| 開発範囲 | 現有技術中心 | 開発・外部獲得も含めて考える |
| ゴール | 受注 | 用途確立・競争優位・事業化 |
営業を技術者にする必要はありません。しかし、少なくとも、「自社技術で何ができるのか」「顧客の工程で何が問題になるのか」「どのような用途に展開できるのか」について技術者と議論できるレベルの知識は必要です。逆に技術者にも、自分たちの技術を技術用語だけでなく顧客価値として説明する能力が求められます。
技術マーケティングの進め方
化学・材料・部品メーカーで実践する場合、次の流れで進めると分かりやすくなります。
| 段階 | 主な活動 |
|---|---|
| ① 技術を整理する | 保有技術・技術シーズを棚卸しする |
| ② 課題解決能力へ翻訳する | 「その技術で何ができるか」を言語化する |
| ③ 用途を仮説化する | 特許、論文、市場・顧客情報などから用途候補を探す |
| ④ 市場へ提示する | Web、展示会、セミナー、技術資料、顧客提案などで見せる |
| ⑤ 潜在課題を発掘する | 顧客の研究・製造・評価上の課題まで掘る |
| ⑥ 必要技術を考える | 現有技術に限定せず、不足する技術要素を特定する |
| ⑦ 用途開発する | 試作、評価、顧客検証を高速に繰り返す |
| ⑧ 競争優位をつくる | 競合との差、知財、ノウハウ、顧客価値を構築する |
| ⑨ 事業化する | 市場性・収益性を確認して投資を拡大する |
ここで③の「用途を探す」と⑤の「顧客課題を探す」は別の活動です。用途が見つかっただけでは事業にはなりません。その用途において、「顧客が何に困っているのか、その背景・根本原因は何か?」まで理解しなければ、自社がどのような価値を提供すべきか決まりません。
技術マーケティングの事例
技術マーケティングのイメージをざっとつかんで頂く為に、最初に事例を2つご紹介します。
幹部社員の技術マーケッター化を図らないと、こうなったというA社長の事例(営業面)
コンサルティングに着手前、A社では、以下のようなことが生じていました。
- そもそも顧客の課題を予測した技術を用意せずに商談に行く
- 下請け的な顧客要望対応を技術者に強いる
- 契約不備などで事業展開ができない
- 研究開発テーマの漏れで商品化が遅れる
- 知財のとり漏れでまねされる
危機感を抱いていたのはA社長です。投資が無駄になるのは当然看過できません。
A社長では、社員の技術マーケッター化に取り組まれました。技術マーケッターを養成するのはワークショップ形式で行います。ワークショップとは、半分研修ですが、実践を伴う本番業務です。
定例的に幹部社員での会合を実施します。こうあるべき、という規範を会社の仕組みに落とし込むのです。
コンサルティング完了後、A社長が満足していたのは、社員と業務のレベルが上がったことです。
「コンサルティング後は、案件の競争優位性がちゃんと把握できるようになりました」
A社長
と述べられています。
自分ひとりで頑張るのではなく、自社の経営幹部に成長戦略を描かせたいとお考えの経営者の方にもってこいなのは、幹部社員の技術マーケッター化
A社長の他にも、技術マーケティングのコンサルティングを受けた場合、以下のような感想が聞かれます。
「コンサルティングを受けた後は、社員の検討レベルが上がった」
大企業の新規事業部門責任者
「今まで入ってこなかった情報が入っている」
中堅機械メーカーの役員
技術マーケッターとは、競争優位性を意図して作れる経営幹部のことです。
あなたの会社でも、経営幹部の「技術マーケッター化」が必須ではないでしょうか?
経営者が「これなら勝てる」と思う投資案件(研究開発テーマ)を立案するためには、経営幹部が競争優位性を作れる人であることが必要です。
経営幹部が、競争優位性を意図して作れれば、経営者は「これなら勝てる」と思えます。
そうした案件が積み重なることが理想的だと言えるのではないでしょうか?
経営者が一人で頑張るのは当社の理想ではありません。幹部社員の「技術マーケッター化」すなわち、意図して競争優位を作れる人を育てることにより、経営者の理想に一歩近づきます。
そのためにも、経営者がやってはいけないことを挙げます。
経営者がやってはいけないこと
◯「できません」という社員の過度な尊重◯現在の仕事の殻を破ろうとしない経営幹部の過度な留任
逆に、経営者がやるべきことも挙げます。
経営者がやるべきこと
◯幹部社員の技術マーケッター化(技術マーケティングの実践ができるように)◯各投資案件を競争優位を確信できるように要求する
よくある質問
技術マーケティングとは簡単にいうと何ですか?
当社では、特に化学・材料・部品メーカーが、自社技術で解決できる課題を市場へ提示し、顧客の潜在課題を発掘しながら、営業と技術が共同して用途開発・技術開発を進め、競合より早い事業化につなげる活動と捉えています。
技術マーケティングと用途開発は何が違いますか?
用途開発は「この技術をどこで使うか」を具体化する活動です。技術マーケティングは、その前段の技術シーズの見せ方、顧客課題の発掘、営業と技術の連携、不足技術の開発、競争優位性や知財の構築まで含めて、用途開発を高速に回す仕組みと考えています。
技術マーケティングは営業部門の仕事ですか?
営業だけの仕事でも技術だけの仕事でもありません。営業は市場・用途・顧客課題を理解し、技術はその課題を解決する技術を構築します。両部門の間で情報が高速に往復することが重要です。
技術営業との違いは何ですか?
技術営業は技術知識を使って商談や提案を行う役割を指すことが多いのに対し、ここでいう技術マーケティングは、用途そのものを発見・開発し、必要な研究開発テーマまで生み出す活動を含みます。
顧客要望を研究開発へ伝えるだけではだめですか?
既存事業には必要ですが、それだけでは顧客が既に認識している顕在要望への対応に偏ります。中長期的な競争優位性をつくるには、その背景にある潜在課題を理解し、場合によっては現在保有していない技術まで検討する必要があります。
最初に何から始めればよいですか?
まず、自社技術を「技術名」ではなく「何の課題を解決できるのか」で整理してください。そのうえで有望用途を仮説化し、その技術の可能性を顧客へ見せ、反応を得るところから始めます。
まとめ 技術と営業の連携で「用途が生まれる会社」にする
技術マーケティングという言葉そのものにこだわる必要はありません。重要なのは、技術を作って顧客からの問い合わせを待つ会社なのか。それとも、自社技術が解決できる課題を積極的に市場へ見せ、営業と技術が顧客の潜在課題を発見し、用途を作り、必要な技術まで先回りして準備できる会社なのか。という違いです。
特に化学・材料メーカーでは、技術の価値は「材料そのもの」ではなく、それが顧客の製品や工程でどのような問題を解決したかによって決まります。だからこそ営業には、既存商品を売る能力だけでなく、技術を理解し、用途を理解し、顧客の潜在課題を技術課題へ変換する能力が必要です。
技術部門にも、現在の技術でできる範囲だけを見るのではなく、価値ある顧客課題を解決するために必要な技術を作る視点が必要です。営業が技術に忖度せず、技術が現在の技術に閉じない。その往復から新しい用途を生み出し、競合より早く事業化する。これが当社の考える技術マーケティングです。
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