
知財はROIC経営に貢献できないのでしょうか
ROIC経営の議論において、知財はしばしば「貢献が見えにくい」「コストセンター」と扱われがちです。しかし、それは知財そのものの価値が低いというよりも、知財部門の関わり方が、経営や現場の期待と噛み合っていないことに起因している場合が多いと考えられます。知財は本来、競争優位性を支える重要な経営資源であり、ROIC向上に直接関与できるポテンシャルを持っています。
「サービスメニューがある」だけでは使われません

多くの企業で、知財部門は特許調査や出願支援などのサービスメニューを整備しています。しかし、メニューが存在するという事実だけで、事業部門や研究開発部門がそれを活用することはほとんどありません。現場が直面している課題や意思決定のタイミングと結びついていなければ、知財サービスは「余裕があるときに使うもの」として後回しにされてしまいます。
知財部門が「外様」になってしまう構造
知財部門は組織構造上、研究開発部門や事業部門の外側に置かれることが多く、現場からは“外様”的な存在になりがちです。その結果、どれほど正論を述べても、「それは分かるが、今は必要ない」と受け取られてしまいます。この状態では、知財は現場の意思決定に入り込めず、ROIC経営への貢献も限定的になります。
ROIC経営が求めるのは「事業の新陳代謝」です
ROIC経営の本質は、限られた資本をどこに投下し、どこから引き揚げるかを判断し続けることにあります。そのためには、事業の新陳代謝が不可欠です。伸ばすべき事業、磨き込む事業、撤退すべき事業を見極めるうえで、競争優位性が本当に存在するのか、そしてそれが持続可能なのかを判断する視点が求められます。ここに、知財部門が入り込む余地があります。
知財部門が提供すべき価値①|競争優位性判定

ROIC経営において、知財部門が最も直接的に貢献できるサービスの一つが、競争優位性の判定です。ある技術や製品が、競合に対して本当に差別化されているのか、その優位性は特許やノウハウによって守られているのか。こうした問いに対して、知財の視点から整理された示唆を提供できれば、事業や開発テーマの継続・撤退判断に大きな影響を与えることができます。
知財部門が提供すべき価値②|用途探索

研究開発の成果がROIC向上につながらない理由の一つに、「用途が固定化されてしまう」問題があります。知財部門は、技術を起点に異分野や隣接市場への用途探索を行うことで、新たな成長機会を提示できます。用途探索は単なるアイデア出しではなく、技術の本質的な強みを再定義し、事業の選択肢を広げる行為であり、ROIC経営における重要なレバーとなります。
知財部門が提供すべき価値③|顧客課題調査

知財情報は、技術の世界だけでなく、顧客課題を読み解く手がかりにもなります。特許や公開情報を通じて、顧客が何に困っているのか、どのような解決策を求めているのかを構造的に整理することが可能です。知財部門が顧客課題調査を通じて、研究開発や事業部門に示唆を提供できれば、テーマ創出の質は大きく向上します。
知財部門が提供すべき価値④|競合調査

ROIC経営では、「自社が何をできるか」だけでなく、「競合が何をし得るか」を把握することが不可欠です。競合調査は、単なる特許件数の比較ではなく、競合の技術戦略や狙っている市場、今後の打ち手を読み解く行為です。知財部門が競合調査を通じて、事業部門の意思決定を先回りして支援できれば、その価値は明確になります。
生成AIは、知財部門の役割を奪う存在ではありません
生成AIの登場により、調査や情報整理の多くは短時間で行えるようになりました。この変化は、知財部門の価値が失われたことを意味するものではありません。むしろ、情報収集に費やしていた時間を、競争優位性判定や用途探索といった、より高度な判断支援に振り向けるチャンスだと捉えるべきでしょう。
知財部門は「戦略パートナー」へ進化できます
知財部門が、競争優位性判定、用途探索、顧客課題調査、競合調査といったサービスを通じて、現場の意思決定に深く関与するようになれば、その立ち位置は大きく変わります。守りの専門組織から、ROIC経営を支える戦略パートナーへ。この進化は、知財部門自身の努力次第で十分に実現可能です。
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