研究開発テーマ創出

このページは、研究開発マネジメントのコンサルティング会社・株式会社如水のページです。研究開発テーマの創出・評価方法について解説しています。

研究開発マネジメントはどう変わってきたか?

最初に、研究開発テーマの創出がうまく行かないことの背景について振り返ってみましょう。研究開発のパラダイムは時代とともに代わってきました。


よくある2010年代の取り組みは、以下の様なものでした。
 1)研究開発テーマ提案会の実施、技術の棚卸し
 2)コア技術、知財ベースのテーマ創出

2010年代半ば以降、多くの研究開発組織に共通する問題点は以下のようなものでした。皆様の会社でも起こっていないでしょうか?
1)研究開発テーマ提案会が長続きしない、研究開発テーマ不足
2)既存の業務(開発テーマ)で多忙であり、余裕がない
3)自由が許容されない、調査やアングラにNOと言うリーダーが多い
4)研究開発部門のあり方に問題意識が乏しい管理職層が多い

本質的な問題について、当社では以下のように考えています。人と組織の問題です。
●テーマ創出が、構造的にできていない。  組織の問題
●テーマ創出が出来る人(スキル)が育っていない。  人の問題

なぜ、小粒の研究開発テーマに留まってしまうのか?

なぜ、小粒の研究開発テーマになってしまうのでしょうか?当社には2つの問題があると考えています。

問題①研究開発に関わる人と組織の問題

現状の構造として以下のようになっています。
◯ピラミッド的な構造
◯「研究開発は自由」と言いつつ予算執行で制約を課す
◯種まき投資に渋い
  ↓ だから
◯種はまけない
◯有望若手はやめる

問題②業務プロセスの問題

現状の構造として以下のようになっています。
◯顧客要望の対応が組織のミッションになっている
◯MBO上の目標も顧客要望対応、営業要望対応
◯できるのは、いつまでに、どんな成果を出すかが明確なもののみ
  ↓ だから
◯「何をやるか」には時間を避けず、「どうやるか」の議論のみになる

なぜ、研究開発テーマが分散してしまうのか?

研究開発テーマが分散してしまうのは、次世代のコア技術が決まっておらず、基準がはっきりしないため、「あるテーマは全てやる」になってしまうからです。

また、テーマ創出をしても途中でやめてしまうことがあります。それは、競争優位性の評価があまく、何でも通してしまうステージゲートが原因です。また、途中でやめてしまうのは、当初の想定が甘いからです。

これらを是正するための措置を取ることで有望な研究開発テーマが生まれます。

そもそも研究開発テーマとは?

そもそも研究開発テーマとは、お金にならない基礎研究でも、顧客や営業の要望をそのまま実現するものでもありません。

研究開発テーマとは、次世代の利益成長を実現するための研究開発投資対象です。技術軸/市場軸の成長マトリックスで言うと、右下と左上の青丸のテーマになります。

上記のようなテーマ創出をすることが必要となります。

研究開発テーマの創出方法にはどんなものがあるか?

研究開発テーマを立案する/させるにはどのような方法があるのでしょうか?いくつかの方法をご紹介します。

1)顧客価値ー機能ー技術(VFT)展開によるもの

当社では、顧客価値ー機能ー技術のマトリックス(VFTマトリックス)を利用して新規テーマの考案を推進しています。VFTマトリックスとは、顧客価値と機能と技術を分けて考える方法です。

この方法は非常に効果的で、様々な研究開発部門で効果を上げています。
「技術の方向性が明確になる」「新機能による新商品で新市場が見えてくる」「ディスカッションが盛り上がり、技術を開発しやすくなる」というメリットがあります。

わかりやすくVFTを例で説明しましょう。例えば、蚊取り線香で言えば、次の様になります。

顧客価値 匂わない
 ↓ということは?
機能 煙の中の匂い成分◯◯が含まれない、少量で済む
 ↓ということは?
技術候補
煙のでない方式(超音波霧化、液体蚊取り)

上記のように、うまくリードしていくと蚊取り線香から、液体蚊取りをイメージできるようになります。

問題となるのは、VFTマトリックスの理解度や浸透を図ることです。この方法が社内に浸透して誰でも利用するようになると、多くのテーマが生まれるようになります。

当社では、上記のような方法を社内で実践する方法を保有しており、コンサルティングで利用しています。

2)用途マップによる研究開発テーマ創出

当社では、用途マップによるテーマ創出を推進しています。用途マップとは、現在の自社技術に付加する要素を特定することにより、自社技術の展開可能性について判断するものです。用途マップは、日常業務として実施していく必要があります。

どのように用途展開を図るのか、実務を経験させるテーマ創出方法は極めて効果が高いと言えます。ほとんど全ての企業にオススメしています。

このような用途展開の方法論に関しては、以下のようないくつかのノウハウが必要となります。社内で行うIPランドスケープで実施することが必要です。IPランドスケープについてはこちらをご覧ください。

  • 顧客の潜在課題の調査・把握方法
  • 知財情報を使った用途探索方法
  • 知財情報を使ったマクロ調査(技術動向調査)
  • コア技術(キーテクノロジー)の抽出方法

当社では、上記のような方法を社内で実践する方法を保有しており、コンサルティングで利用しています。
最後の「コア技術の抽出」については、以下の技術の棚卸しが必要となります。

3)技術の棚卸しによるテーマ創出

技術の棚卸しによって、コア技術(キーテクノロジー)を抽出して、コア技術の用途を探索するアプローチもあります。技術の棚卸し後に、コア技術を設定するに際しては、以下のようないくつかのノウハウが社内で定型化されていることが必要となります。

  • 科学技術の動向調査方法
  • コア技術の抽出・定義の方法
  • 用途探索の方法
  • 競合分析の方法
  • 顧客ニーズの把握方法

当社では、上記のような方法を社内で実践する方法を保有しており、コンサルティングで利用しています。

例として、日東電工のコア技術発展の歴史を紹介します。粘着テープ事業で培った粘着技術に、液晶技術という新規コア技術を付加して偏光板とし、さらに光学設計技術という新規コア技術を付加してやフィルムという市場を開拓しました。

技術の棚卸については、こちらもご覧ください。

4)潜在ニーズによる研究開発テーマ創出

潜在ニーズによる研究開発テーマ創出とは、顧客動向を深堀りすることによるテーマ創出方法のことです。顧客の潜在ニーズを把握して、潜在ニーズを解決するように研究開発テーマを設定することです。

どのように潜在課題を発掘しテーマにつなげるか経験させるテーマ創出方法は極めて効果が高いと言えます。

潜在ニーズによってテーマを設定するに際しては、以下のようないくつかのノウハウが社内で定型化されていることが必要となります。

  • 潜在ニーズの発掘方法をどうするのか?
  • 潜在ニーズをどのように具体化するのか?
  • どのような要件で開発企画書を書く(書かせる)のか?

当社では、上記のような方法を社内で実践する方法を保有しており、コンサルティングで利用しています。

潜在ニーズを発掘する技術マーケティングについてはこちらをご覧ください。

5)バックキャスト型によるもの

バックキャストとは、将来を予測する際に、持続可能な目標となる社会の姿を想定し、その姿から現在を振り返って今何をすればいいかを考えるやり方です。目標を設定して将来を予測することです。

バックキャスト型のために、将来社会から考えていくことが必要になります。

そのため、将来予想を重要な情報源として使いますが、将来予想は公知のものとなるため、競合と同じテーマになりがちです。注意する必要があります。

バックキャスティングによってテーマを設定するに際しては、以下のようないくつかのノウハウが社内で定型化されていることが必要となります。

  • お客様の将来はどうなっていくのか?を予想する方法論
  • 事業の将来はどうなっていくのか?を予想する方法論
  • 当社の独自のソリューション/顧客価値は何か?
  • 競合を調査して、競争優位性のポイントを出す方法論

当社では、上記のような方法を社内で実践する方法を保有しており、コンサルティングで利用しています。

6)DX型/IoT型の研究開発テーマ創出

2020年代は、事業でDX(デジタルトランスフォーメーション)を適用することが増えています。最近の動きは、事業主導で行われていますが、KomatsuのSmartConstructionに見られるように、従来は研究開発主導で行われていました。

※コマツのSmartConstructionは、従来はKomtraxと呼ばれ、建機(機械)の従来技術にIoT技術(新規コア技術)を組み合わせたものです。

DX型/IoT型の研究開発テーマを立案するには、以下のような方法が、社内で定型化されていることが必要になります。

  • 顧客の現状の課題の把握方法
  • 顧客の技術開発動向の把握方法
  • 全体から部分に向かって分析する

当社では、上記のような方法を社内で実践する方法を保有しており、コンサルティングで利用しています。

7)IPランドスケープによる研究開発テーマの創出

上記の1〜4までで説明したような社内で定型化されていることが必要な方法論は、知財情報を使って行われることが一般的です。知財情報を使うため、検索テクニックが必要になることから、知財部が関与あるいはリードして実施することが必要になります。これはIPランドスケープと呼ばれます。

IPランドスケープについて詳しくはこちらをご覧ください。

研究開発テーマ創出を実践するにはどうすればいいのか?

研修形式で個人的な取り組みを促進するもの

研修形式等で個人的に研究テーマの創出をする会社があります。研修方式で成果を問わずに研究開発テーマを創出しようとするものです。

対象は若手〜中堅の技術者です。

若手には研究企画書の内容の意味合いを理解せずに書く人もいます。また、中堅の研究者にも、研究企画力を持たないままで過ごした方も多いです。

技術経営、知財マネジメント、技術マーケティングを網羅的に教育することでテーマ検討を実行可能なレベルに引き上げます。研究テーマの企画を実践させることにより、実践力を高めます。

組織的取り組みによるもの(プロジェクト)

組織として取り組むパターンもあります。課長やチームリーダークラスがプロジェクト形式で参画することによって、テーマを創出しようとするものです。成果重視の場合にはこちらのほうが一般的です。

プロジェクト形式の場合は、技術の棚卸しやトレンド分析など、技術戦略に近いものとなります。こちらもご覧ください。

研究開発テーマの評価はどうすればいいのか?

研究開発テーマの評価はステージゲートシステムで行われます。ステージゲートは、多数のテーマを一つの尺度で通過するかどうかを判断するというものです。

ステージゲートよくある課題として、以下の様な問題があります。

  • 甘い評価のため甘い検討しかされず、よほどダメでない限り全て通過(その逆も)
  • テーマを強化するように評価しなければならないが、評価が属人的で再現性がない

ステージゲートを通過するために、技術者は文書を記載します。その文書を記載するためには、ある程度フォーマットを明確にしておく必要があります。そのフォーマットに報告がどの程度まで書いていれば優秀なのか、その基準を含めて明示していることがコツです。

なお、フォーマットがきっちり定まっているから運用がうまくいくというものではありません。フォーマットが会っても運用がうまくいかない事例は多数あります。結局は運用が肝要なポイントです。

何から始めるか?

いくらかの方法をご紹介しましたが、ここまで読んでくださった方は、研究開発テーマの創出に関して、継続的に成果がでるように仕組みにしていく必要性をお感じではないでしょうか?

当社も同様の見解を持っており、散発的な取り組みではなく、仕組みとして定着化させ、実践に移していく仕組みの構築が必要だと思っています。

そのために必要なのは、ミドルマネジメント(部課長職)の理解と実践です。

ミドルマネジメントがその方法を理解し、実践し(させ)、実際に成果を出していくことが成果の継続に絶対に必要な条件となります。

どうすればミドルマネジメントがその方法を理解し、実践し、成果を出していくことができるのか?当社では、豊富なコンサルティングの経験から、その解決策を保有しています。

以下のガイドラインに、さらに詳しい情報が載っていますので、お取り寄せいただき、自社の研究開発の活性化に関する理解を深めてくだされば嬉しいです。

研究開発ガイドライン/カタログのご案内

研究開発部門の高度化や人材開発を担う担当者のために、研究開発ガイドラインをお送りしています。あわせて、技術人材を開発するワークショップやコンサルティングの総合カタログもお送りしています。

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参考に当社コラムもどうぞ

実践的な技術戦略の立て方その① 体制について

実践的な技術戦略の立て方その② 顧客視点での技術の棚卸し

実践的な技術戦略の立て方その③ 用途の探索