研究開発マネジメントとは?企業R&Dの戦略・テーマ評価・資源配分を解説

要約

研究開発マネジメントとは、企業の経営戦略を研究開発活動へ落とし込み、研究開発テーマの創出・評価・選択、技術戦略、資源配分、組織・人材、知財などを通じて、将来の競争優位性と事業成長を実現するための一連の管理活動です。

研究開発マネジメントというと、研究テーマの進捗管理や予算管理を思い浮かべるかもしれません。しかし、本来の目的は研究開発活動を管理することそのものではありません。経営が必要とする成長を実現するために、「どのような研究開発テーマを生み出し、どのテーマを育て、どこに人・時間・予算を配分するのか」を決めることが重要です。

特に2020年代に入り、上場企業ではPBR、ROE、ROICなど資本効率を意識した経営が求められるようになりました。研究開発部門についても、研究開発費を単なる費用として管理するのではなく、将来利益につながる「成長投資」としてマネジメントすることが求められています。

本稿では、主に製造業の研究企画部門、研究管理部門、R&Dマネージャーを対象として、研究開発マネジメントの目的、テーマ創出、技術戦略、技術マーケティング、テーマ評価、R&Dポートフォリオ、資源配分、組織・人事評価、知財戦略までを一体として解説します。

執筆:中村大介
株式会社如水代表。20年以上にわたりBtoB製造業のR&D、技術マーケティング、知財、新規事業支援に従事。R&Dテーマ創出、ステージゲート、R&Dガバナンス等の研修・コンサルティングを行っています。

研究開発マネジメントの目的と役割

研究開発マネジメントで実現すべきことは、経営が求める将来の成長を、具体的な研究開発活動へ変換することです。例えば経営が「5年後に新規事業で一定規模の利益を生み出す」「高ROIC事業の比率を高める」と決めたとしても、その方針をR&D部門へ伝えるだけでは研究開発活動は変わりません。

経営目標を実現するためには、「現在の研究開発テーマからどの程度の成果が期待できるのか」「将来必要な利益との間にどの程度のギャップがあるのか」「そのギャップを埋めるために、どのような新しい研究開発テーマが必要なのか」を考える必要があります。

そして、新しいテーマを生み出すために必要な探索活動を定め、人・時間・予算・設備・外部委託費・顧客調査・知財活動などの資源を配分します。

つまり研究開発マネジメントは、以下のような具体化の仕組みです。

経営目標 →  R&D目標 →  テーマ創出 →  テーマ評価 →  R&Dポートフォリオ →  資源配分 →  実行・検証 →  テーマの継続・修正・中止

個々の制度を整備するだけでは十分ではありません。テーマ創出研修を行っていても新しいテーマを考える時間がなければテーマは生まれませんし、優れたテーマが生まれても、既存事業に近いテーマだけが通る評価制度であれば成長テーマは残りません。

研究開発マネジメントでは、それぞれの制度を個別に見るのではなく、経営、テーマ創出、テーマ評価、資源配分、人事評価までを一つのシステムとして設計することが重要です。

経営戦略をR&Dへ落とし込む

研究開発部門が抱える問題の一つが、経営方針と研究開発現場の行動の間に存在するギャップです。経営会議では「新規事業を増やす」「成長市場へ進出する」「高ROIC事業へ資源を移す」といった方針が示されます。研究開発部門長もその方針を理解しています。

しかし、研究者の日常を見ると、既存商品の改良、既存顧客からの依頼、不具合対応、営業支援などによって時間の大部分が使われているということがあります。

つまり、経営方針 → R&D部門への伝達 までは行われていても、経営方針 → R&D資源配分 への変換が行われていないのです。研究開発マネジメントにおける資源とは、研究開発予算だけではありません。研究者の人数や時間、試験設備、外部委託費、顧客調査に使える工数、知財調査なども重要な研究開発資源です。

中長期の成長テーマを増やそうとするのであれば、「新しいテーマを考えなさい」と指示するだけではなく、既存テーマに使っていた研究者の時間の一部を、新規用途探索、潜在課題調査、競合分析、新しい技術仮説の検討などへ実際に移さなければなりません。

このように経営目標とテーマ創出、テーマ評価、資源配分をつなぐ仕組みがR&Dガバナンスです。R&Dガバナンスについては、R&D費用を単なる費用ではなく成長投資として捉え、テーマ創出・テーマ評価・資源配分をどのようにつなげるべきかを別の記事で詳しく解説しています。詳しくはこちら

研究開発テーマを創出する

研究開発マネジメントの重要な役割の一つが、将来の成長につながる研究開発テーマを継続的に生み出す仕組みをつくることです。研究開発部門には、既存顧客への対応や既存商品の改良も必要です。しかし、それだけでは現在の事業を維持することはできても、将来の成長事業をつくることはできません。

研究開発部門では、既存技術を新しい市場へ展開する、新しい顧客課題を発見する、新しい技術を既存事業へ取り込むといった探索活動が必要になります。そのためには、技術者個人の発想力に依存するのではなく、技術棚卸し、用途探索、顧客課題探索、競合調査などを組み合わせ、テーマを継続的に生み出すプロセスを整備する必要があります。

例えば、自社技術について「この技術で何ができるのか」を考えるだけでは、技術者がすでに知っている用途の範囲から抜け出せない場合があります。自社技術が実現できる機能を整理し、その機能が価値を生む用途を探索し、さらにその市場で顧客が抱えている課題を調査することで、従来とは異なる研究開発テーマが見つかる可能性があります。

研究企画部門の仕事は、すべてのテーマを自ら考えることではありません。各技術部門が日常的に新しいテーマを探索できる仕組みをつくり、その活動に必要な情報、時間、方法、評価制度を整えることが重要です。

技術戦略を策定する

技術戦略とは、研究開発部門から見た会社の成長戦略です。会社は、市場環境や競争環境の変化に応じて事業ポートフォリオを変えていく必要があります。その中で研究開発部門には、将来必要となる技術を予測し、自社がどの技術を強化し、どの技術を外部から獲得し、どの市場で競争優位性を築くのかを考える役割があります。

技術戦略では、将来の成長産業や社会的要請、技術トレンドを確認するとともに、それらの市場で求められる技術と自社技術を比較します。

そのうえで、自社が保有する技術だけで将来必要な商品やサービスを実現できるのか、不足する技術は何か、不足技術を研究開発、共同研究、M&A、ライセンスなどのどの方法で獲得するのかを検討します。技術戦略には、会社レベルでの技術資源の配分、事業レベルでの事業・技術戦略、個別商品・技術レベルの戦略など複数の階層があります。

研究開発マネジメントでは、これらを一度作成して終わりにするのではなく、市場・競合・技術環境の変化に合わせて定期的に見直すことが重要です。

技術マーケティングを企画・実行する

研究開発テーマを見て、「競合企業も同じことをやっている」「既存商品の性能を少し改善しただけになっている」と感じることがあります。このような場合、テーマ創出の方法だけでなく、顧客の潜在課題を十分に探索できていない可能性があります。

顧客は必ずしも、自分が将来必要とする商品や技術を言葉にして説明できるわけではありません。そのため、「何が欲しいですか」と聞くだけでは、既存商品の改善要望が中心になりやすくなります。

技術マーケティングでは、顧客が現在多くの時間やコストを使っている作業、当たり前だと思って受け入れている不便、まだ十分に解決されていない課題などを探索します。同時に、自社の基盤技術を単体の材料や部品として見せるのではなく、「この技術を使えば顧客の仕事をどのように変えられるのか」というソリューションとして見せることも重要です。

顧客から学んだ課題を研究開発へフィードバックすることで技術を強化し、強化された技術を使ってさらに新しい顧客課題を探索する。この循環を回すことが、技術マーケティングの役割です。

研究開発テーマを評価・管理する

研究開発テーマは、創出することと同じ程度に評価することが重要です。生まれたばかりの研究開発テーマは通常、不完全です。顧客も用途も技術仕様も明確ではないことがあります。そのため、テーマ評価は単に「良いテーマか悪いテーマか」を判定するものではなく、検証を通じてテーマを強くしていく活動として考える必要があります。

ここで注意したいのが、「売れるか」「できるか」という評価だけに偏ることです。「売れること」を最も説明しやすいのは、すでに顧客から依頼を受けているテーマです。また、「できること」を最も説明しやすいのは、自社がすでに保有している技術の延長にあるテーマです。

したがって、「売れる確実性」と「技術的実現可能性」を強く要求すると、既存顧客 × 既存技術 × 既存商品の改良というテーマが最も評価されやすくなります。これらのテーマは既存事業を維持するために必要です。問題なのは、研究開発ポートフォリオ全体がこのタイプのテーマへ偏ってしまうことです。

研究開発テーマを評価する際には、「売れるか」「できるか」に加えて、「競争優位性を形成できるか」という視点が必要です。競合商品との違いは何か、顧客がその違いに価値を感じるのか、その違いを競合企業が容易に模倣できるのか、といった問いを通じてテーマを強化していきます。

研究段階と開発段階では評価方法を変える

テーマ評価制度としてステージゲートを導入している企業は少なくありません。しかし、研究段階と開発段階を同じ評価基準で管理すると、中長期の成長テーマが育ちにくくなる場合があります。

研究段階では、まだ顧客、市場規模、売上計画、技術仕様などが明確でないことが普通です。この段階で開発後期と同程度の確実性を要求すれば、不確実性の大きなテーマは初期段階で落とされます。

研究段階では「探索と学習」を重視し、小さな投資によって仮説を検証しながら不確実性を減らします。一方、開発段階に進んだ後は「選択と集中」を進め、事業化に必要な技術、顧客、市場、コストなどを具体化していきます。

また、ゲートでの判断を「継続か中止か」の二択にする必要もありません。一度棚に入れる、用途や顧客を変えてテーマを生まれ変わらせる、既存事業へ移管する、新規事業として独立させる、ライセンスや共同事業を検討するなど、複数の出口を設けることができます。

ステージゲートの問題点や、成長テーマを育てるテーマ評価制度の設計については、別の記事で詳しく解説しています。詳しくはこちら

R&Dポートフォリオと資源配分を管理する

研究開発マネジメントでは、個々のテーマを評価するだけでは十分ではありません。各テーマを一覧化し、会社全体として「現在どの種類のテーマに研究開発資源を使っているのか」を把握する必要があります。

例えば、顧客要望対応、既存商品の改良、次世代商品、中長期テーマ、新規事業テーマなどに分類してみると、研究開発費の多くを将来テーマに使っているように見えても、研究者の実際の時間は既存事業対応に集中している場合があります。

そのためR&Dポートフォリオでは、研究開発費だけではなく、人員や研究者の時間まで含めて把握することが重要です。また、「短期テーマ50%、中長期テーマ50%」といった理想比率が常に存在するわけではありません。

新商品の市場投入直前であれば事業化へ資源を集中する必要があります。一方、成熟した事業で次の成長源が不足しているのであれば、中長期テーマや新規事業テーマへの配分を増やす必要があります。重要なのは、固定的な比率を守ることではなく、事業環境や経営戦略に応じて研究開発資源を動かせることです。

ROIC経営をR&Dにそのまま適用しない

ROICは、事業ポートフォリオや資源配分を考えるうえで有効な経営指標です。しかし、不確実性の高い研究初期のテーマに対して、現在のROICや短期的な投資効率だけを求めると、中長期テーマへの投資を抑制する可能性があります。

研究初期では、将来の売上や利益を正確に予測することは困難です。そのため、現在の事業評価と同じ尺度だけで研究テーマを判断するのではなく、テーマが将来どのような競争優位性を形成し、どの程度の事業機会につながる可能性があるのかを段階的に評価する必要があります。

R&DにROIC経営を適用する本質は、すべての研究テーマにROICを計算させることではありません。現在のテーマを惰性で続けるのではなく、将来の利益につながるテーマへ人・時間・予算を動かす経営を実現することにあります。

ROIC経営をR&Dへ適用する方法、短期・小粒テーマから中長期・成長テーマへ資源を移す考え方については、別の記事で詳しく解説しています。詳しくはこちら

組織・人材・人事評価を連動させる

研究開発マネジメント改革というと、研修や制度導入から始める企業が少なくありません。

技術マーケティング、新規テーマ創出、デザイン思考、顧客課題探索などの研修を行えば、技術者の知識や視点を広げることはできます。

しかし、研修を実施しただけでは、研究者の日常行動まで変わるとは限りません。

例えば「新しい市場を探索しよう」と研修で学んでも、通常業務では既存顧客対応や開発案件を完了した人だけが高く評価され、新市場探索に使った時間が人事評価につながらないのであれば、研究者は既存業務を優先します。

テーマ創出を人事評価項目に加えるだけでも十分ではありません。勤務時間のほとんどが既存業務で埋まっていれば、新しいテーマを探索することは「余裕があれば行う仕事」になってしまいます。

したがって、研究開発マネジメントでは、以下の連鎖を機能させる必要があります。

人材育成 → 研究者の時間配分 →  テーマ創出 →  テーマ評価 →  人事評価 →  資源配分

「中長期テーマを増やしたい」という経営方針を掲げるのであれば、中長期テーマを探索する時間を確保し、その活動をテーマ評価制度と人事評価制度の双方で評価する必要があります。

制度を一つ導入するのではなく、研究者が望ましい行動を取りやすい環境をつくることがR&Dマネジメントの重要な役割です。

知財戦略・IPランドスケープをR&Dに組み込む

研究開発マネジメントでは、技術戦略と知財戦略を別々に考えないことも重要です。知財戦略とは、特許を何件取得するかを決めることではありません。研究開発テーマ創出や技術戦略の策定を、知財の面から支援する活動として捉えることができます。

研究開発部門が「どの技術を開発するのか」を考え、知財部門が開発後に特許出願するという直列的な関係だけでは、知財を十分に事業戦略へ活用できません。

研究開発の初期段階から、競合企業がどの領域に特許を出願しているのか、どのような技術課題が存在しているのか、自社が競争優位性を形成できる余地はどこにあるのかを調査し、技術部門と知財部門が共同でテーマを検討することが重要です。

IPランドスケープも、この活動を支える手段の一つです。特許情報だけを分析して何か特別な答えが自動的に得られるわけではありません。市場情報、顧客情報、競合情報、自社技術などと組み合わせ、経営や研究開発上の問いに対して知財情報を活用する必要があります。

例えば、「自社技術をどの市場へ展開するのか」「競争相手はどの技術を強化しているのか」「どこに技術的な空白が存在するのか」といった問いに対して知財情報を利用します。

知財戦略とIPランドスケープを研究開発テーマ創出や技術戦略へどのように組み込むかについては、別の記事で詳しく解説しています。

詳しくはこちら

競争優位性を知財で守り、競合の選択肢を制限する

研究開発テーマを事業化する際には、「技術が完成したか」だけではなく、その技術によって生み出した競争優位性を維持できるかを考える必要があります。

例えば、顧客が高く評価する差異化要素を技術によって実現できたとしても、競合企業が容易に模倣できれば、その優位性は長く続きません。そのため、差異化要素を支える技術を特許、ノウハウ、意匠、商標などによって守ることが重要になります。これが「守り」の知財です。

一方、自社の商品を守るだけではなく、競合企業が同じ顧客価値を実現しようとした際に必要となる技術領域を先回りして権利化することで、競合企業の選択肢を制限する考え方もあります。

このように、研究開発によって競争優位性をつくり、その競争優位性を知財によって持続させるところまでを一連の活動として考えることが重要です。攻めの知財と守りの知財を研究開発活動へどのように組み込むのかについては、別の記事で解説しています。詳しくはこちら

AI時代に研究開発マネジメントはどう変わるか

生成AIの進化によって、研究開発テーマ創出の方法も変わり始めています。従来は、技術情報や市場情報を調査し、用途候補を探索し、顧客課題を整理し、競合を分析するために相当な時間が必要でした。生成AIを活用することで、これらの探索作業の一部を大幅に高速化できるようになっています。

技術棚卸し、用途探索、顧客課題探索、競合調査、仮説形成などをAIによって支援することで、研究者が検討できるテーマ候補は増えていくと考えられます。

しかし、テーマ候補を大量に作れるようになれば、研究開発マネジメントが不要になるわけではありません。むしろ逆です。

アイデアが少なかった時代には「良いテーマをどう生み出すか」が大きな課題でした。AIによって多数の候補を短時間で生み出せるようになると、今度は「何を選ぶか」「何を育てるか」「何をやめるか」「どこへ資源を移すか」がボトルネックになります。

つまり、AI時代には、以下を一体として設計することが、これまで以上に重要になります。

テーマ創出 →  テーマ評価 →  資源配分 →  ステージゲート →  人事評価

企業間の差を生むのは、生成AIを導入しているかどうかだけではありません。AIによって提示された多数の可能性の中から、有望なテーマを見抜き、選び、育て、必要であれば止め、その判断に合わせて人と資金を動かせる組織能力が重要になります。

AI時代のR&Dガバナンスや研究開発資源配分については、こちらの記事でも詳しく解説しています。詳しくはこちら

研究開発マネジメントを見直す際に確認したいこと

研究開発マネジメントを改善する際には、個別の制度が存在するかどうかだけを確認しても、本質的な問題が見えないことがあります。

ステージゲート制度があるか、技術マーケティング研修を行っているか、IPランドスケープを実施しているか、といった「制度の有無」ではなく、それぞれが実際にどのようなテーマや行動を生み出しているかを見る必要があります。

例えば、次のような問いから確認することができます。

  1. 経営が求める将来の成長とR&Dのテーマポートフォリオはつながっているか
  2. 研究者は新しい用途や顧客課題を探索する時間を持っているか
  3. テーマ評価制度は、既存顧客・既存技術のテーマだけを有利にしていないか
  4. 中長期テーマへ人・時間・予算を実際に移動できているか
  5. 人事評価制度は、新しいテーマを探索する行動を後押ししているか
  6. 技術戦略と知財戦略が一体として検討されているか
  7. 不要になったテーマを止め、より有望なテーマへ資源を再配分できているか

重要なのは、これらを別々の問題として扱わないことです。

例えば、新しいテーマが生まれない原因が研究者の発想力にあるとは限りません。既存業務で時間が埋まっていることが原因かもしれませんし、新しいテーマを提案しても現在の評価制度では通らないことが原因かもしれません。

さらに、その背景には人事評価制度や既存事業部中心の意思決定構造が存在する可能性もあります。

研究開発マネジメントを改善するとは、一つの新しい制度を導入することではありません。テーマがどこで生まれなくなり、どこで止まり、なぜ資源が動かないのかという因果関係を確認し、その仕組み全体をつなぎ直すことです。

研究開発マネジメントの最終目的は「経営が選べる成長機会」を増やすこと

研究開発部門の成果を、商品化件数や特許件数だけで測ることはできません。研究開発には、本質的に不確実性があります。すべてのテーマを商品化することも、すべてのテーマを成功させることも現実的ではありません。

むしろ重要なのは、複数の有望なテーマを継続的に育て、経営が「この事業へ投資する」「この技術を既存事業へ展開する」「このテーマは外部企業と共同で進める」「このテーマはいったん止める」と選択できる状態をつくることです。

個々の研究テーマを見るのではなく、将来の利益を生み出す可能性を持ったテーマ群をR&Dパイプラインとして管理する。この視点を持つことで、研究開発費を単なる費用ではなく、将来の事業機会を生み出す成長投資として捉えられるようになります。

そのために必要なのが、以下を一続きの仕組みとして設計する研究開発マネジメントです。

経営戦略とR&D戦略の接続 →  テーマ創出 →  技術マーケティング →  テーマ評価 →  R&Dポートフォリオ →  資源配分 →  ステージゲート →  組織・人事評価 →  知財戦略

研究開発マネジメントの目的は、研究を管理することではありません。限られた研究開発資源を使って、企業が将来選択できる成長機会を継続的につくり出すことにあります。

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